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運動がテストステロン増加に与える影響を医師がわかりやすく解説します。運動をすることはテストステロン=男性ホルモンの維持につながります。中でも特に効果的な運動方法を紹介します。
テストステロンは運動で増える
テストステロンと言われても、何のことなのかさっぱり分からないと言う人もいるかと思われます。
実際にテストステロンとは何か、増加させる運動法や治療法などについて詳しく解説していきたいと思います。
テストステロンは男性の場合は精巣で作られていて、成長ホルモンが分泌されやすい夜中の1〜3時の間に作られます。
たくさんテストステロンを分泌させるにはバランスの良い食事、質のいい睡眠、適度な運動などが必要と言われています。
日常生活に運動を取り入れただけでテストステロンを増加することができた、という研究データも報告されています。
テストステロンとは
そもそもテストステロンは男性ホルモンの約95%を占めていて、女性ホルモンでバランスを取っている女性に比べて、テストステロンの分泌量が多いのです。
そのため男性の体はテストステロンによって健康を維持できていると言っても過言ではなく、がっちりした体系や声変わりなど、身体を男らしくしてくれるという働きがあります。
テストステロンは10~20代をピークに分泌量が低下していくものですが、分泌量が減少すると性機能障害を引き起こして性欲がわかなくなったり、疲れが取れない、気力・集中力の低下、イライラしやすくなる、気分が落ち込みやすくなるといった症状が出ることもあります。
テストステロンが低下すると身体の中の臓器にも影響を与えてしまい、肥満や高血圧、認知機能の低下やうつ病、男性更年期障害などのリスクも高まるので注意しなければいけません。
テストステロンが減少する原因には加齢の他、食生活や運動不足、ストレスや睡眠などがあります。
食生活が乱れると身体に必要な栄養素が不足して、テストステロンの分泌量が減ってしまいます。
生活習慣に運動を取り入れ、テストステロンの分泌量をアップさせたいときは、タンパク質を中心としたバランスの良い食事を心がけなければいけません。
テストステロン増加に効果的な運動方法
テストステロンは運動によって増加させることができるのですが、運動と言ってもジョギングやランニング、水泳など色々なものがあります。
運動の中でも、最もテストステロンが増加するのは「筋トレ」です。
筋トレでは切れた筋繊維を修復する過程で筋肉が肥大し、テストステロンがアップする作用があります。
スクワットであれば、運動初心者の人でも気軽に日常生活に取り入れることができます。
スクワットはテストステロンを増加させたいという目標があっても、初めから筋肉に大きな負担をかけてしまうと長期的に続けることが難しくなるので、少ない回数から始めて少しずつ回数を増やしていき、筋肉量をアップさせましょう。
運動中級者、上級者は軽い運動だけではあまり効果が出ないこともあるので、ジムに通ってより筋肉に負荷をかけたり、ダンベルなどを使って自宅で筋トレをしてみましょう。
スクワット
スクワットをするときは、まず脚をコシ幅から肩幅に開いて立ちます。
男性はつま先が大きく外に向いてしまうことが多いので、つま先が膝と同じ向きになるように心がけましょう。
脚の位置をセットすることができたら手を胸の前で軽く組み、太ももと床が平行になるくらいまでゆっくりとお尻を下げていきます。
この時にお尻が突き出てしまうと、太ももの筋肉に負荷をかけることができなくなってしまうので、できるだけ効果をアップさせるためにもお尻が付き出ないように注意をしましょう。
太ももと床が平行になるくらいまでお尻が下がったら、ゆっくりと状態を元の位置に戻します。
これを10回3セットで行うと大きな筋肉を鍛えることができるので、効率よくテストステロンを増加させることができます。
プランク
プランクはスクワットと同様、初心者向けの筋トレメニューです。
この筋トレでは腹筋を鍛え、大きな筋肉を鍛えることができるので、テストステロンを増加させたいときにおすすめです。
プランクではまず四つん這いになり、床に両肘をついて両足をまっすぐ伸ばして、頭からかかとまでが一直線になるように心がけましょう。
腰やお尻などがあがってしまうと、腹筋に負荷をかけることができなくなりますので姿勢には注意しましょう。
このポーズを30秒キープして、2〜3セット行いましょう。
ダンベル
ダンベルは重たいものほど筋肉が付きやすくなるのですが、いきなりすごく重たいものから始めてしまうと、筋肉を傷めてしまう可能性があるので注意が必要です。
ダンベルを両手にひとつずつ持ち、脚を肩幅に広げて背筋を伸ばしたまま腰を落としていきます。
この時にダンベルが体の横にずれてきたり、お尻が付き出るような体制になると運動しても筋肉が付かないので、無意味となってしまいます。
腰を落としたら背中から引き上げるようなイメージでダンベルを持ち上げ、まっすぐの姿勢まで戻して静止します。
これを15〜20回2〜3セット程度行うと背中の筋肉をアップさせることができます。
徐々に運動に慣れてきたら、無理のないペースで回数や時間を伸ばしていき、1日30分週2回程度のペースに近づけていきましょう。
運動の頻度や回数が増えることで身体の筋肉が徐々にアップしていき、効率よくテストステロンを増加させられます。
運動をするときは筋肉量をアップさせるためにも、エネルギー源となる炭水化物もしっかり摂取しましょう。
炭水化物が不足するとエネルギーが減ってしまい、筋肉を作るのが難しくなりますので、テストステロンを増やす運動を心掛けるときは食事にも注意しましょう。
プロテインがテストステロンを減少させることもある
筋トレをするときは筋肉をアップさせる方法として「プロテイン」を活用することが多いのですが、大豆を原料としている植物性のプロテインにはソイプロテインが含まれています。
このソイプロテインはテストステロンを減少させてしまう効果があるので、プロテインを活用する際はどんな成分が配合されているかを確認してから使用しましょう。
テストステロン増加に有効な治療法
テストステロンの分泌量が少ない場合、治療法にてテストステロンをアップさせることも可能です。
泌尿器科などでは「テストステロン補充療法」という治療が行われていて、男性更年期や男性ホルモンが減少したことによる症状を改善させることができる治療法です。
テストステロン補充療法はテストステロンを注射剤やクリーム、カプセルなどで補充する方法で、注射剤はクリニックでしか受けられません。
クリームについては薬局などでも購入できるのですが、有効成分の配合量が1%と非常に少ないため、有効成分の配合量が多いものを使いたい場合は、クリニックや泌尿器科で5%のテストステロンが配合されているクリームを処方してもらうのがおすすめです。
テストステロン補充療法は疾患がある人は治療ができないので、治療を望む場合は必ず医師に相談しましょう。
テストステロン補充療法の流れ
泌尿器科などではまずカウンセリングや診察を行い、食生活や日常生活などをカウンセリングしたうえで、どんな症状が出ているかを確認します。
症状などを確認した後は血液検査を行い、ホルモンの数値を調べて原因を探ります。
血液検査の結果、テストステロンが低下していることで様々な症状が出ていると医師が判断し、注射剤やクリーム、カプセルなどを用いて治療を行います。
注射剤はエナント酸テストステロンを注射器で体内に直接注入する治療法で、日本では医療用に唯一承認されているテストステロン剤です。
クリニックで処方されているクリーム(外用薬)の中には、日本では未承認のため海外から輸入して処方しているところもあります。
市販薬
ドラッグストアや薬局などでは、「グローミン」や「トノス」などのテストステロン剤が販売されています。
しかし、これらの市販薬は第一類医薬品なので購入の際には薬剤師の指導が必要となり、薬剤師が在籍している店舗でしか購入できません。
ドラッグストアや薬局などで販売されている市販薬は、有効成分の配合量が1%なので手軽に購入したいというケースには向いているのですが、身体に起こっている様々な症状を改善させたい場合はクリニックや泌尿器科などを受診し、医師の診断の下でクリームを使って治療した方がいいでしょう。
漢方
身体に疾患を抱えている人はテストステロン補充療法で治療することができないのですが、こういった場合は漢方を進められることもあります。
漢方の種類はクリニックや泌尿器科など病院によっても異なるのですが、漢方はテストステロン補充療法よりも即効性はないので、テストステロンを増加させるには数ヶ月間飲み続ける必要があります。
ただ、徐々にテストステロンがアップしていくので、症状の改善が見込めるでしょう。
テストステロンは男性を象徴する身体づくりに欠かせないホルモンで、減少すると様々な症状が出始めます。
テストステロンは目に見えるものではないので、何らかの症状が出るまではテストステロンが減少していることを感じにくいのですが、運動を取り入れ食事などに気を付けるだけでもテストステロンをアップさせることができます。
強い症状が出ているときは、即効性のある治療法「テストステロン補充療法」によってテストステロンをアップさせるのがおすすめです。
時間や治療を受けたくないという場合は、テストステロンが配合されたクリームをドラッグストアなどで購入することもできるのですが、有効成分の配合量が少ないので高い効果は得られないでしょう。
十分な効果を実感したいのであれば、有効成分の配合量が多いクリームを処方してくれる病院を探してみましょう。
疾患があるとテストステロン補充療法を受けることができないので、テストステロンをアップさせる有効な治療がないか調べている人は医師に診察してもらいましょう。
医師や取り扱っている薬剤によっては、漢方などでテストステロンを増加させるものを処方してくれるかもしれません。